将来を見据えた「老人ホーム」選び
「老人ホーム」と聞いて皆さんが思い浮かべるイメージは、もはや現在の老人ホームのイメージとはかけ離れたものであるかもしれません。薄暗い施設の大部屋に、いくつものベッドが並んでいる･･･というのは、もう昔の話。現在では多くの施設が個室制を取り入れ、入居者がより快適な空間で、快適な老後の生活を送ることができるようになっています。中には高級マンションやホテル並みのサービスが実施されているものもあるほどです。
さて、ひとくちに老人ホームとは言っても、その種類は実にさまざまです。
健康な高齢者が安心できる暮らしを求めて入居するタイプから、寝たきりなどの常時介護を必要とする人が入所するものまで、幅広いタイプが揃っています。
2000年の介護保険制度を契機として、多くの一般企業が介護事業に参入しました。有料老人ホームやグループホーム、高齢者向けマンションといった施設が民間企業によって運営されており、充実した高齢者向けサービスの提供を目指しています。
老人ホーム選びで最も重要な点は、入居される方が、どのような健康状態にあって、どのようなサービスを必要としており、そしてどのようなライフスタイルを望んでいるかということです。
健康状態から介護の必要性を判断する基準として、介護保険制度の「要介護認定」があります。各自治体の福祉窓口から要介護認定の審査を申込み、認定を受けると介護保険が適用されます。要介護度は、自立、要支援1〜2、要介護1〜5に分類されます。要介護度が高くなるほど、必要となる介助サービスも増え、介護給付金額も増えます。多くの施設は、この要介護認定の要介護度を基準として入居制限を行なっているので、まずは要介護認定を受けることが必要となります。
それでは、実際にどのような施設に入居すればよいのでしょうか。
多種多様な高齢者施設の中でも、多くの企業が力を入れて運営しているのが、「有料老人ホーム」と呼ばれる施設です。「有料」というのは、かつて無料に近いかたちで入居が可能であった特別養護老人ホームと比較する形で名づけられたものであり、決して他の施設が無料というわけではありません。
有料老人ホームは、「健康型」「住宅型」「介護型」の3種に分類され、介護の必要がない人も、重度の介護が必要な人も、安心して生活できる環境が整っています。異業種から参入している企業も多く、住環境の整備や毎日の食事などに力を入れている施設もあり、単なる介護サービスを提供する場ではなく、充実したセカンドライフを送るステージとして高いニーズを誇っています。
入居にかかる費用は施設によって大きく異なります。多くの施設が、入居の際に「入居一時金」というまとまった額のお金を必要としていますが、最近では入居一時金なしのところも増えてきました。その一方で、入居一時金が億を超える超高級有料老人ホームもあります。
バリエーションも豊かで、日本全国あらゆるところにありますから、サービスの内容や立地条件、運営会社の情報などをよく検討して、心から安心して入居できる施設を探しましょう。最終的な入居を決める前に、体験入居を試してみるのも良いでしょう。インターネットやパンフレットでは分からない面も見えてきます。どのような人が入居し、どのような人が働いているか、ということも、老人ホームを選ぶ際には大切なチェックポイントとなります。
このほかにも、最近注目されている施設形態のひとつに、「高齢者専用賃貸住宅」というものがあります。これは、バリアフリー設計や常駐管理人の設置によって、元気な高齢者が、もしものときにも安心できる環境が整備されたマンションであり、介護サービスなどはありません。今後、団塊世代の元気な人々を中心として、よりニーズが高まっていくことでしょう。
老人ホーム選びは、入居される方だけでなく、それを見守るご家族の方が安心できることも大切です。ここで紹介した有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅以外にも、実にさまざまなタイプの施設がありますので、じっくりと時間を掛け、家族みんなが納得できる最高の老人ホームをお選びください。
