序章　なぜマンション投資なのか～いまから始める将来のための資産づくり～

ワンルームマンション投資法

なぜマンション投資なのか

マンション投資を始める人が急増しています。サラリーマンの方が副業として手軽にできることや、低金利・年金不安などを背景に、30代から70代の方までその層が広がっています。独身女性(OLなど)が資産運用にマンションを購入するケースも増えており、さらに2007年には団塊世代の退職が始まり、その退職金の運用先としてもマンション投資が注目されています。自分の将来を自分で築くために、マンション投資が注目を集めているのです。

マンション投資とは

バブル崩壊後、マンション価格は下がりましたが、借りた場合の家賃はそれほど下がっていません。今はまだ金利が低いので、ローンを組んでマンションを購入して賃貸に出せば、毎月の家賃収入でローンを返済することができ、ローン終了後は毎月の家賃がまるまる自分の収入になるわけです。現在、銀行にお金を預けてもわずかな利息しか得られませんが、マンションに投資すると表面利回りで5％前後くらいが期待できます。

しかし、マンションなら何でもよいかといえばそうではありません。マンションに投資する場合は、立地や建物の質や管理、賃貸のニーズなどが大変重要になってきます。また、マンション投資にはリターンがある以上、さまざまなリスクがあります。バブルのころと違い、不動産投資には収益性を重視することが当たりまえになってきています。

マンション投資もその利回りが重要となってきており、さらに将来の年金対策としてマンションを購入するのならば、利回りに加えて、「賃貸需要」がどの程度見込まれるかが大変重要なポイントとなります。当初の利回りが高くても、空室期間が出れば、総合的な利回りは低下してしまい、空室時のローン返済もすべて自己負担となってしまいます。また何ヶ月も空室のままですと、家賃の値下げをせざるを得ない事態にもなりかねません。

将来の年金対策に限らず、マンションを購入するのでしたら、ローン終了後もクオリティがきちんと保たれている必要があります。ですから、マンション管理も重要です。

初めての人には新築マンション

新築マンションと中古マンションではどちらが有利かと聞かれることもありますが、どちらも長所と短所があります。新築マンションは、物件の選択肢が豊富であり、長期間所有を考えるならば中古に比べて寿命の点で安心なのと、最近のワンルームマンションは、提携ローンや賃貸管理システムが用意されているので、中古に比べて手軽に始めることができます。

一方、中古マンションは、新築より価格が安いため、同じ賃貸ならば利回りがよくなります。しかし、値段が安いということはその分だけ減価償却が進んでおり、新築にくらべて建物劣化が早いという短所があります。現在では、昔に比べて建築技術も発達しているので、共用部分、専有部分ともに質が高くなっています。築10数年のマンションは、専有部分の設備については、新築マンションと比べると見劣りするのはしかたありませんが、共用部分の劣化、特に躯体コンクリートや給配水管などの内部などは、専門化が見てもその判断はなかなか難しいものです。以上の理由から、初めての人には新築マンションがおすすめできると言えるでしょう。

マンション投資のチャンス到来

脱デフレにより、低金利・低価格・立地の都市化といった状況が確実に変化しています。通常、マンション価格は都心と郊外とでは、都心のほうが高いのですが、ここにきて逆転現象が起きていることがあります。都心部の大型再開発物件は用地が広く、時間的にもかなり以前に用地を取得しているので、土地仕入れ価格が現在よりも安価です。

それに比べて郊外の駅近くの狭小な土地のほうがむしろ価格が上がってしまっているので、後からできた郊外型マンションのほうが高いケースが見られることもあります。マンション市場の歴史を振り返ってみると、立地の都市回帰現象と低金利が重なったことは、実は今回が初めてです。これから投資用にマンションを購入される方は、現在まれにみるチャンスです。じっくりあわてずに物件を選ぶことができ、価格も妥当といえます。

マンション購入体験談

筆者が初めて投資目的でマンションを買ったのは1986年、30歳の時です。購入した物件はファミリータイプとワンルームマンションの混在型のワンルームマンションです。面積は約16㎡で価格は当時新築で1000万円弱でした。当時の家賃は月額7万5000円で、表面利回りは実に9％でした。当時の住宅ローンの金利は今と比べると非常に高金利でしたが、それでも家賃が住宅ローンを上回り、管理費、修繕費、固定資産税等はすべて家賃収入で補いました。

その後、バブルが到来し、中古市場価格で一時期は2000万円、3000万円と高騰しましたが家賃は物件価格ほど上昇することなく、バブルのピーク時でも8万6000円程度でした。そしてバブルが崩壊、マンションの価格は下落しましたが、現在でも価格は当時を少し下回る程度です。家賃も多少下がりましたが、それでも7万5000円と新築で買った21年前とまったく同じ家賃となっています。しかも、その間ほとんど、借り手がなかったときがありませんでした。

現在でもそのマンションは利回り10％の優良収益不動産となっています。住宅ローンもそろそろ終わりますが、その間に実際に払ったお金は、自己資金100万円と諸経費50万円程度です。その結果残るものは、年間利回り10％程度の家賃を稼ぎ出す1000万円弱の資産です。これは成功した例ですが、現在の状況もまたとないチャンスがめぐってきていると思います。

このチャンスを逃さないように、しっかり情報を蓄えて、素早く行動に移せるようにしましょう。

野中清志（のなかきよし）

株式会社オフィス野中　代表取締役。住宅コンサルタント、宅地建物取引主任者。 1956年、東京都生まれ。1981年、明治学院大学経済学部卒業後は、大手マンションディベロッパーに就職。営業として華々しい活躍を遂げる。その後、ワンルームマンションディベロッパーにて執行役員を歴任し、2003年に株式会社オフィス野中を設立。「お客様の立場に立った購入アドバイス」を実践し、不動産の豊富な知識と業界20年の経験を活かしたコンサルティングが好評である。講演、執筆多数。