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相続した不動産売却にかかる税金や節税に関する特例まで
相続した不動産は、利用していなくても、所有しているだけで維持費がかかります。売却してしまった方が良い場合もあるでしょう。
また、相続人があなた以外にいる場合、現金化すれば平等に遺産として分配可能です。不動産売却で、親戚同士の相続トラブルを防げるかも知れません。
不動産売却には税金がかかりますが、特例を上手に活用すれば節税できます。ただし、相続した不動産売却に関する特例を受けるには期限があるため、注意が必要です。
今回は、相続した不動産の売却時にかかる税金や特例について解説していきます。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら目次
不動産の相続・売却には、それぞれ以下の税金や費用がかかります。
不動産を相続・売却するときにかかる税金と費用
税金 | 相続 | 登録免許税 | 相続税 |
---|---|---|---|
売却 | 所得税・住民税 | 印紙税 | |
費用 | 相続 | 登記費用 | - |
売却 | 仲介手数料、建物の解体費 |
ここでは、不動産売却時にかかる費用の中でもわかりにくい、税金の計算方法や税率を解説します。
登録免許税は、不動産を登記することで課税されます。
登記とは、所有者を明確にするために行うものです。
相続した不動産を売却する場合、以下の通り2回の登記が必要になります。
登録免許税の計算方法は、固定資産税評価額×税率です。
登録免許税の税率
税率 | ||
---|---|---|
土地 | 建物 | |
相続登記 | 0.4% | |
所有権移転登記 | 2%(1.5%)※ | 2%(0.3%)※ |
※()内は以下の条件で軽減税率が適用した場合の税率です。
土地…令和3年3月31日までに所有権の移転登記した場合
建物…令和4年3月31日までに、居住用住宅の所有権の移転登記をした場合
軽減税率の適用条件は下記の国税庁公式サイトをご確認ください。
不動産に限らず、相続した遺産は相続税の課税対象です。
相続税には基礎控除額があり、課税対象の合計額が基礎控除額を上回る場合、申告・納税の義務があります。相続税の申告義務がある場合、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に税務署に申告する必要があります。
相続税の基礎控除の計算式は、以下の通りです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人)
例:法定相続人が2人(妻・子)の場合、以下の通り基礎控除額は4,200万円です。
基礎控除額4,200万円=3,000万円+(600万円×2)
相続税の詳しい計算方法は、法定相続人数や、下記で説明する特例等によっても変わります。詳しくは下記に記載の国税庁公式サイトをご確認ください。
不動産を売却したとき、不動産の取得費※よりも売却した価格が高い場合、利益に対して以下3種類の譲渡所得税が課税されます。
※取得費=不動産を購入した価格+購入にかかった諸費用譲渡所得に対する税金の計算式と税率は以下の通りです。
所得税・住民税=課税譲渡所得金額×税率
復興特別所得税=基準所得税額×税率
税率
所有期間※ | ||
---|---|---|
5年超(長期譲渡所得) | 5年以下(短期譲渡所得) | |
所得税 | 15% | 30% |
住民税 | 5% | 9% |
復興特別所得税 | 2.1% |
※所有期間は、1月1日を基準にします。
例:2016年に売却した場合、2010年12月31日以前に取得した不動産は長期譲渡所得、2011年1月1日以降に取得した不動産は短期譲渡所得です。
上記のように、所得税と住民税は所有期間によって税率が変わりますが、相続した不動産を売却する場合、不動産の取得日は被相続人が取得した日です。
印紙税の税額表
売買契約書の契約金額 | 本則 | 軽減税率※ |
---|---|---|
500万円超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
※平成26年4月1日から令和4年3月31日までの契約書は軽減措置が適用。
相続した不動産売却にかかる税金は、以下の特例を受けると節税できます。
ただし、上記の特例を受けるには期限内に不動産を売却する必要があるため、注意が必要です。
取得費の特例とは、譲渡所得※を計算するときの「取得費」に、相続税を加算できる制度です。取得費とは、仲介手数料などの諸費用を含めた不動産購入時の価格です。
※譲渡所得の計算式
課税譲渡所得=売却価格ー(取得費+売却にかかった費用)
相続した不動産の取得費とは、被相続人の取得費です。
取得費の特例を受けるには、相続開始から3年10か月以内に不動産を売却する必要があります。現在売却するか迷っている人は、期限に注意してくださいね。譲渡所得に対する税金(所得税・住民税)は、売却で得た利益が大きいほど課税額が大きくなる仕組みです。取得費に相続税を含めることで、課税譲渡所得を減らし、譲渡所得に対する税金を節税できます。
3,000万円の特別控除とは、マイホームを売却して得た利益に対し、3,000万円まで控除を受けられる特例制度です。
通常はマイホームに適用される制度ですが、被相続人が居住していた戸建の売却でも、相続から3年以内であればこの特例を受けられます。
特例を受けるための要件は、以下の通りです。
3,000万円の特別控除には、上記以外にも要件が細かく定められています。詳細は下記の国税庁公式サイトをご確認ください。
不動産売却は、生前と相続後どちらにするべきか悩む人もいるでしょう。
なんとなく、不動産売却を生前に済ませた方が、相続時に楽な気がしますよね。たしかに生前に現金化してしまえば、相続人同士のトラブルを防げるかも知れません。
しかし、相続後に不動産売却した方が、節税効果が大きくなる可能性があります。
相続後の売却で節税効果が大きくなる理由は、以下2つです。
前章で解説したように、条件を満たした不動産を3年以内に売却すれば、「取得費」や「3,000万円特別控除」の特例を受けられます。特例を受ければ、生前に売却するよりも節税できる可能性があります。
また、現金を相続する場合は課税対象=現金(時価)ですが、不動産を相続する場合の課税対象は、固定資産税評価額です。固定資産税評価額は時価よりも安く設定されているため、現金で相続するよりも相続税を節税できます。
以上のことから、相続後に不動産売却した方が、節税効果が大きくなる可能性があります。
売却予定の不動産を相続するとき、相続時に受けられる「小規模宅地等の特例」に注意が必要です。
小規模宅地等の特例とは、相続税を軽減する制度です。相続した土地が宅地の場合、330m2までの部分を80%減額できます。
しかし、小規模宅地等の特例は相続税が少なくなる分、取得費に加算できる金額が減るため、売却で発生する譲渡所得税が高くなる可能性があります。
売却予定の不動産を相続する場合、
という選択肢がありますが、上記2つをよく比較してどちらが節税効果が大きいか考慮することが大切です。
第1章の「登録免許税」でも解説しましたが、相続した不動産を売却するには、被相続人から相続人へ所有者の変更をする「相続登記」が必要です。
相続登記をしていないと不動産を売却できないため、忘れずに行いましょう。
あなた以外にも相続人がいる場合は、勝手に相続登記・不動産売却をせず、相続人同士で不動産の分割方法を話し合います。
相続した不動産を売却して売却代金を分配する遺産の分割方法を、「換価分割」と言います。
親族同士の仲が良くても、お金が絡む相続でトラブルに発展する可能性はあるでしょう。換価分割をすれば現金で明確に遺産分配できるため、トラブルを防ぐことができます。
相続人が複数いる場合の換価分割の大まかな流れは、以下の通りです。
余計なトラブルを防ぐために、相続人同士で分割方法をよく話し合い、計画的に換価分割を行いましょう。
相続人同士のトラブルを避けて円滑に遺産分配を行うには、不動産売却がおすすめです。ただし、不動産の相続や売却には、相続税・登録免許税など各種税金や諸費用がかかります。
特例制度を上手に利用して、賢く節税してくださいね。
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