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個人・法人が不動産を売却する際にかかる税金の種類から特例制度まで
不動産を売却する際にかかる税金は、個人・法人問わず売主にとって大きな負担になる場合があります。ただし、税金の仕組みを理解することや、特例制度を上手に活用することで節税可能です。
また、売却する不動産の名義が個人か法人かによって、かかる税金の種類や考え方、節税対策が異なります。
今回は、不動産売却にかかる税金の種類と節税対策について、個人と法人に分けて解説します。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら目次
個人が不動産を売却する際に課税される税金は、以下4種類です。
税金の種類 | 特徴 |
---|---|
印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙代 |
登録免許税 | 住宅ローン完済時の抵当権抹消登記など、登記にかかる税金 |
消費税 | 不動産会社に支払う仲介手数料は、消費税の課税対象 |
譲渡所得税※ (所得税・住民税) | 不動産を売却して利益を得た場合、利益に対して課税される税金 |
上記のうち、印紙税・登録免許税は契約書1通や、不動産1個ごとに税額が決まっているため節税できません。仲介手数料にかかる消費税は、仲介手数料の金額によって税額が異なります。
譲渡所得税は、売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税されるため、利益が出なければ課税されません。また、譲渡所得が生じた場合でも、取得費や譲渡費用などの経費を計上することで節税できます。譲渡所得の節税対策については、第3章と第4章で詳しく解説します。
登録免許税の計算方法や登記時にかかる費用、その他不動産売却時にかかる費用の詳細は以下の記事で解説しているので、併せてご確認ください。
不動産売却の登記費用について売却する不動産が法人名義の場合、個人とは税金の種類や考え方が異なります。
法人名義の不動産売却にかかる税金は以下6種類です。
税金の種類 | 特徴 |
---|---|
法人税 | 法人の所得に対してかかる国税 |
法人住民税 | 地域で事業を営む法人に対して課税される、都道府県や市町村に納める地方税 |
法人事業税 | 法人が行う事業に対して課税される、都道府県に納める地方税 |
消費税 | 不動産会社に支払う仲介手数料や建物の売買価格が課税対象 |
印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙代 |
登録免許税 | ローン完済時の抵当権抹消登記など、登記にかかる税金 |
個人では譲渡所得に対して譲渡所得税が課税されますが、法人では法人税・法人住民税・法人事業税が課税されます。
また、前々年の課税売上高が1000万円を超える法人が事業用の不動産を売却した場合、建物の売買価格に対して消費税が課税されます。
不動産売却時にかかる消費税については、以下の記事で解説しているので興味がある人はご覧ください。
不動産売却時にかかる消費税所得税とは1月1日?12月31日の1年間で得た利益に課税される税金で、譲渡所得税を含めて全部で10種類です。譲渡所得税は、他の所得と分けて計算する分離課税に分類されます。
一方、法人税は法人の事業年度ごとに課税される税金で、事業全体の利益から税額を計算する総合課税です。
法人税は、益金から損金を控除した課税所得に税率を乗じて計算します。不動産売却で利益が出た場合は益金として計上し、他の所得と合算させて税額を計算する仕組みです。
法人税の計算方法
益金・損金とは税務上の専門用語で、会計上の収益・費用に似たものです。ただし、全く同じものではなく、計上されるタイミングや適用される範囲が異なります。
益金・損金についての詳細や法人税の税率に関しては、税理士さんに確認してみてくださいね。
また、個人の場合、不動産を所有している期間によって譲渡所得税の税率が変わりますが、法人の場合、不動産の所有期間は税率に影響しません。
取得費とは不動産を購入する際にかかった費用で、譲渡費用とは不動産を売却するためにかかった費用です。
譲渡所得税は、以下のように譲渡所得に対して課税される仕組みなので、取得費と譲渡費用をできるだけ多く計上することで、税金の負担を軽減できます。
譲渡所得税の計算式
つまり、計上できる取得費と譲渡費用が大きいほど課税対象の譲渡所得が減り、譲渡所得税も節税できます。
取得費の具体例としては登録免許税や不動産取得税などがあり、譲渡費用の具体例としては仲介手数料や印紙税などがあります。
取得費に加算できる費用の考え方、譲渡所得の具体的な計算方法は以下の記事で解説しているので、興味がある人はご覧ください。
【不動産売却時】取得費の計算方法とは譲渡所得税の税率
所有期間 | 所得税 | 住民税 | |
---|---|---|---|
5年以下 | 30% | 9% | |
5年超 | 15% | 5% | |
10年超 (マイホーム) | 売却益が6000万円 以下の部分 | 10% | 4% |
売却益が6000万円 超の部分 | 15% | 5% |
※令和19年までは、所得税と住民税に加えて2.1%の復興特別所得税が課税されます。
この章では、譲渡所得税の節税方法について解説しましたが、譲渡所得税の節税は、不動産を売却して利益を得られた際に検討できることです。不動産の売却を成功させるためには、不動産一括査定サービスなどを利用し、複数の不動産会社を比較・検討することをおすすめします。
以下の記事では、不動産一括査定について解説しているので、興味がある人はぜひご覧ください。
不動産一括査定のメリット、デメリット譲渡所得税の特例制度を上手に活用すると、税額の負担を大きく軽減できます。利用できるものがあるか確認してみましょう。
マイホームを売却する際に利用できる特例制度を以下の表にまとめました。
マイホームの売却時に利用できる特例制度
特例制度 | 概要 |
---|---|
3000万円の特別控除の特例 | 譲渡所得から最高3000万円を控除できる制度 |
特定のマイホームを買い換えたときの特例※1 | マイホームを売却して新しいマイホームに買い換えた場合、条件を満たせば譲渡益への課税を将来に繰り延べられる制度※2 |
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算※1 | マイホームの買い換えで譲渡損失が生じた場合、その年の給与所得など他の所得から損益通算※3できる制度 |
※1:適用期限は、令和3年12月31日までです。
※2:繰り延べとは、先送りにすることです。節税・非課税とは異なります。
※3:損益通算とは、他の所得から損失分を控除することです。損益通算すると、他の所得にかかる税金の負担を軽減できます。
各制度にはそれぞれ適用条件があるため、詳細は国税庁の公式サイトをご確認ください。
3000万円の特別控除については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも併せてご確認ください。
相続した空き家を売却する際に利用できる特例制度を以下の表にまとめました。
相続した空き家を売却する際に利用できる特例制度
特例制度 | 概要 |
---|---|
取得費の特例※1 | 譲渡所得を計算する際、一定額の相続税を取得費に加算できる制度 |
3000万円の特別控除 ※2 | 要件を満たせば譲渡所得から最高3000万円まで控除できる制度 |
※1:相続開始から、3年10ヶ月以内に不動産を売却する必要があります。
※2:平成28年4月1日から令和5年12月31日までに不動産を売却した場合が対象です。
上記の特例制度にはそれぞれ条件があるため、詳細は国税庁の公式サイトをご確認ください。
以下の記事では、相続した不動産を売却する際のポイントを解説しているので、相続した不動産を売却予定の人におすすめです。
相続した不動産を売却する際のポイント投資用の不動産を売却する場合、事業用の資産を買い換えたときの特例を利用できる場合があります。
この特例制度は、個人が所有する投資用の不動産を売却し、一定の要件を満たす事業用資産に買い替えた場合、譲渡所得の一部を将来に繰り延べできる※制度です。
※繰り延べとは、先送りにすることです。節税・非課税とは異なります。
特例制度を利用するためには、売却する不動産、買い替える不動産の双方に条件があるなど細かい条件があるので、詳細は国税庁の公式サイトをご確認ください。
不動産を売却して利益が出た場合、特別利益として計上するため、利益が増えた分、税金の負担も大きくなります。特別損失としてマイナス分を計上すると、その年の利益から損失分を控除できるため、節税につながります。
具体的な節税対策は、法人の経営状況や売却する不動産によって異なるため、税理士や不動産会社に相談してみてくださいね。
どこに依頼すればいいのかわからないという人は、不動産一括査定サービスの利用がおすすめです。以下の記事では不動産一括査定のメリット、デメリットを解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
不動産一括査定のメリット、デメリット不動産を売却する際にかかる譲渡所得税や法人税は、仕組みを理解することや特例制度を上手に活用することで節税できます。
今回紹介した節税方法や特例制度について確認し、利用できそうなものがあれば検討してみてくださいね。
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