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不動産売却で気を付けたい反復継続の注意点から該当しやすいケースまで
不動産を売却する場合、不動産業と見なされるケースがあることをご存じでしょうか。宅建業の免許を所有していないにも関わらず、あなたの取引が不動産業と見なされてしまうと、法律違反となってしまいます。
不動産をいくつか所有している方や、大きな土地を分割して売却したいとお考えの方は、必ず知っておきたい不動産売却の反復継続について詳しく解説していきます。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら目次
複数の不動産を所有している方や、広い土地を複数に分けて売却したいと考えている方に注意していただきたいのが、その不動産の売却が宅地建物取引業であると見なされるかどうかです。
宅地建物取引業は、免許を所有した宅地建物取引業者のみ行うことができます。しかしながら、宅地建物取引業に該当する取引はどういったものなのかと一概にこうだと言うことはできません。
不動産売却における一つ一つの要件を、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に照らし合わせて、事業性が高いかどうかを判定していきます。宅地建物取引業であるかどうかの判断基準は、以下の通りです。
①取引の対象者
広く一般のものを対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
②取引の目的
利益を目的とするものは事業性が高く、特定の資金需要の充足を目的とするものは事業性が低い。
③取引対象物件の取得経緯
転売するために取得した物件の取引は事業性が高く、相続又は自ら使用するために取得した物件の取引は事業性が低い。
④取引の態様
自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高く、宅地建物取引業者に代理又は媒介を依頼して販売しようとするものは事業性が低い。
⑤取引の反復継続性
反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い。
上記の要件の中でも「取引の反復継続性」は、客観的に判断することが可能ですので、特に注意しなくてはならないポイントです。
そもそも、不動産売却における「反復継続」とはどういったものを指すのでしょうか。
「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に「反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い。」とある通り、自宅や相続で取得した実家などを売却する場合は、1回限りの売却になりますので事業性が低いと見なされます。しかし、1回の販売であっても、複数の対象者へ不動産を売却する行為は反復継続したと見なされます。
例として、広大な土地を複数の土地に分筆し複数人に売却する場合や、1棟のマンションをそれぞれの部屋ごとに複数人に売却する場合などが該当するでしょう。
こういった行為は、反復継続した行為とみなされるため、宅地建物取引業の免許がなくては行うことができません。
そこで気になるのが、何回不動産の取引を行うと反復継続に該当するのかということです。実は具体的に何回以上の取引で反復継続に該当するかという目安はありません。判断するのはあくまで行政庁になりますので、不安な方は不動産会社と相談しながら売却を進めるのが良いでしょう。
ここでは、反復継続と見なされやすいケースについて解説していきます。
広大な土地を売却したい場合、どうしても1回の取引で売却することが難しいケースもありますよね。
そういった際は、土地を分割して売却することもあるでしょう。そのような場合は、複数の人物と取引を行うことになりますので反復継続と見なされる場合があります。
しかしこういったケースでも、何区画の販売から反復継続と見なされるかという具体的な数値を表すことはできません。
ただし、2つの区画に分けて売却した取引よりも、やはり30区画、50区画とより多い区画に分けて売却する方が反復継続と見なされる可能性が高いでしょう。
特に家賃の収入目的などで不動産を所有している方に気を付けていただきたいのがこのケースです。反復継続でカウントされる不動産の取引には、売却だけではなく購入した回数も含まれます。
出口戦略として、所有している不動産を売却し、また新たに購入するということもあると思いますが、それだけで不動産の取引を2回行ったことになってしまいます。
また、貸している不動産を賃借人から「購入したい」と申し出られることもあるでしょう。そういったケースが重なり、何度も取引を行ってしまうと反復継続していると見なされる場合がありますので、注意が必要です。
宅地建物取引業の免許を持っていないのであれば、事業目的で複数回取引を行うのはかなりリスクが高いでしょう。具体的にどういったことを指すかというと、「競売物件を安く仕入れ、高値で売却を行う」などの行為が該当します。
こちらも複数回行うことで、反復継続と見なされてしまうのはもちろんのこと、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の②取引の目的や③取引対象物件の取得経緯などにおいても事業性が高いと見なされる可能性が高いでしょう。
事業性が高いと判断されると宅地建物取引業と見なされてしまいます。宅地建物取引業の免許を所有せずに宅地建物取引業を行うと、法律に違反してしまいます。罰則もありますので、注意してください。
不動産の取引が反復継続したものであるなど、事業性が高い取引であったと見なされた場合は、宅地建物取引業を行ったと認定されてしまいます。
あなたが宅地建物取引業の免許を所持していないにも関わらず、行った不動産の取引が宅地建物取引業と見なされてしまった場合、罰則があります。
個人が無免許で宅地建物取引業を行った場合、3年以下の懲役か、300万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。
また、法人として行った取引が無免許での宅地建物取引業の営業であると認定された場合は、1億円以下の罰金となります。
無免許営業と見なされてしまうと、3.違反したらどうなるの?でもご説明した通り、重い罰則が科せられる可能性があります。
取引の回数が多くなると、やはり反復継続した取引であると見なされる可能性は高くなってしまいます。多くの不動産を所有している方であれば、不動産の整理をするだけでも、1回の取引ですべてを終わらせることはできないでしょう。
1. 空き家の維持にかかる費用で説明した通り、不動産の取引が宅地建物取引業と見なされるには、「事業性の高さ」に注目しなくてはなりません。回数が増えてしまう場合は、下記の注意点に気を付けて、なるべく事業性の低い取引になるよう心がけましょう。
①不動産の売却を行う際には、不動産会社に代理もしくは媒介を依頼する
②短期間で複数回の売却は避ける
③所有期間が短い売却は、転売目的と見なされる可能性があるため割ける
④広い土地を売却する場合は、複数人への売却は避ける
どれか一つでも該当していれば、必ずしも宅地建物取引業と見なされなくなるということではありません。しかし、事業性が高くなる要素をなるべく避けることで、あなたの不動産取引が宅地建物取引業と見なされる可能性は低くなるでしょう。
不安な要素がある場合は、必ず不動産会社と相談をしながら売却を進めていきましょう。
不動産の取引が反復継続したものだと見なされてしまうと、最悪の場合、罰金や懲役などと言った重い刑罰が科せられる可能性があります。
自宅などを売却したいと考えている方ではあまり反復継続することに該当しませんが、特に家賃収入を得るような物件の売買を検討中の方は気を付けなくてはなりません。
なるべく事業性が高い取引を行っていると見えないように配慮しながら、不動産売却を進めていきましょう。
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